【感想】腑抜けども、悲しみの愛をみせろー「あたしは絶対、人とは違う。」

こんにちは、ちぃです。

 

「あたしは絶対、人とは違う。特別な人間なのだ。」

誰だって、自分のこと一度はそう思った経験ってあるはず。

だけど、どこかで気づく、「自分は普通の人間だ。」って。

この小説はそのことには気づかず、「自分は特別」と思っている女性とその周りの人たちの読んでいて少しつらくなる小説です。

ちなみに「腑抜け」とは・・・

(はらわたを抜き取られた状態の意から)意気地がないこと。気力がなく、しっかりしていないこと。また、その人やそのさま。腰抜け。*1

 

どんな内容?

女優になるために状況していた姉・澄伽(すみか)が両親の葬儀のために故郷に帰ってきたところから話は始まる。

妹の清深(きよみ)、腹違いの兄・宍道(しんじ)、その妻・待子(まちこ)、それぞれの視点や言動にも触れながら話は展開されてる。

過去のある出来事により姉に背くことができず、いじめられる清深。

「家族を幸せにしたい」とただそれだけを思っていただけなのに、澄伽に振り回される宍道

この世に産み落とされた瞬間からマイナスの人生を歩み、宍道に言われるがままの待子。

一見解放されているかのように感じる実は閉塞された空間「田舎」で、この家族はどうなっていくのか…

最後はちょっとどんでん返しのような気もしますが、なぜかすっきりしないお話。

ちなみに、佐藤江梨子さん主演で2007年には映画化もされています。

 

誰が書いているの?

作者は「本谷有希子」さん。

1979年石川生まれ。高校卒業後、上京。2000年9月「劇団・本谷有希子」を旗揚げ。主宰として作・演出を手掛ける。’06年に上演した『遭難、』で第10回鶴屋南北戯曲賞を最年少で受賞。’05年に自作戯曲を小説化した本作で三島由紀夫賞候補に、’06年『生きてるだけで、愛』(新潮社)で芥川賞候補になる。*2

劇作家でありながら小説家、演出家、女優など、多彩な顔を持つ。

 

他の作品(小説)

  • ぜつぼう
  • 自分を好きになる方法
  • ぬるい毒
  • 生きてるだけで、愛 など

 

個人的感想

この本もある方からの紹介で読んで見ました。

読み終わったあとに「もやっと」とする作品って、過去にいくつか読みましたが、これもその作品の一つ。

なんだろ…なんかすっきりしない。むしろ、澄伽にいらいらしたり。

それでも、このお話にでてくる誰かには感情移入できるのではないかと。私は妹の清深の気持ちがわかるな、と思いながら読み進めてました。

200ページほどなので、半日程で読了 。

 

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感想(8件)

*1:デジタル大辞泉

*2:「腑抜けども、悲しみの愛をみせろ」より抜粋